ネトゲの目的は様々だ。
いかに多くの怪物を狩るか。
いかに多くのレアアイテムを入手するか。
いかに多くの仲間を作るか。
いかに多くの謎を解くか。
参加している奴らの多くは、そんなことを考えながらやっているんだろう。
だが、俺の場合はそのどれとも違う。
いかにアイテムを少なくしてミッションをクリアするか。
それだけを考えて。
『……よし』
装備は小型のナイフだけ、回復アイテムも何も持たない。
普通のモンスター程度ならこれで十分だから。
あとは、フィールドに出るだけ。
……狩りの、始まり。
行った先のフィールドには、多くのモンスターが徘徊していた。
『……多いな』
思わず呟く。
いつも以上にモンスターの数が多い。
統制は取れていないのか、動きはてんでちぐはぐだ。
ついでに、プレイヤーキャラが1人も見当たらないし……珍しいこともあるモンだ。
『ま、それはどうでもいいか』
ナイフを構える。
目に見える全てが敵なのだから、容赦する必要が無い……そういう意味で言えば、気楽そのものだし。
『……っ』
モンスターの方もこちらに気付いているのか、こちらの様子を伺っているようだ。
『行くぜっ!!!』
結論から言えば、いつもと変わらなかった。
最初の数体を屠った時点で――勝てないと認識したのか――残りのモンスターは逃げていく。
『……つまんねーの』
誰もいなくなった赫いフィールドを歩きながら、俺は辺りを見渡した。
歩くたびに響く、ぴちゃ、ぴちゃ、という音。
飛び散る何かなど、気にもならない。
『む』
……いつの間にバージョンアップしたのだろう。
妙に、感触が……
『ん?』
ふと、立ち止まる。
……フィールドのの片隅に、小さなモンスターがうずくまっていた。
怖いのだろうか。
体をぶるぶると震わせて。
『なんだ、いるじゃん』
「!?」
びくり、とモンスターが震えた。
『うずくまってても、どうにもならねぇよな。かかってこいよ』
「やだ……やだよ」
おや、と思う。
どこかから響く雑音に混じって聞こえたのは、確かに……声。
『へぇ、喋れるのか』
「やだぁ、こっち来ないで!」
喋るってことは、ボスかクエスト対象か。
妙に口うるさいのが気になるが、それはどうでもいい。
どっちにしたって、
「殺る、だけだ」
変わりなどしないのだから。
手を振り上げた刹那。 雑音が一際大きくなる。
――――番組の途中ですが、臨時ニュースをお伝えします。
つい先ほど午後5時ごろ、A県○○市で刃物を持った女が通行人に切りつけるという事件が起き、多数の死傷者が出ている模様です。
女は今も逃走中で、警察は近隣住民へ外出を控えるよう呼びかけるとともに、女の行方を追っています――――
要は存在とか嘆きとか。
あと、バッドエンド。
以下、ちょっとした余談。
タイトルの意味は『反転』。
なので、最初に母が読んだ時、タイトルと序盤数行でオチまで辿り着かれてしまい……文芸部に投稿する際には(わかり難くするために)カタカナに直した、という経緯があったりします。